●要 約:静脈うっ滞性病変に対する内視鏡下筋膜下穿通枝切離術(subfascial endoscopic perforator vein surgery; SEPS)は,これまでもその良好な手術成績が報告されているが,一方で不全穿通枝処理の必要性は未だ議論されている.今回われわれは,ターニケット駆血を必要とせず,通常の腹腔鏡手術と同じ再利用可能デバイスを使用するシンプルな“modified”SEPSを慢性静脈うっ滞性病変に対し施行した.対象症例は皮膚病変部周囲に径3 mm以上の明らかな不全穿通枝を有するCEAP C4以上の静脈うっ滞性皮膚病変合併症例で,これまでに68肢64例に対し“modified”SEPSを施行し,また同時に50肢48例に対し伏在静脈処置(ストリッピング手術,レーザー焼灼術)を追加した.いずれの症例も合併症なく経過し現在のところ術後成績としては,潰瘍再発が2例,治癒遅延が3例認めるのみで,その94%の症例において皮膚症状の改善を認めた.不全穿通枝を有する静脈うっ滞性皮膚病変に対する治療手段の一つとして“modified”SEPSは,その安全性,経済性からも有用であると考えられた.