抄録
●要 約:急性塊状肺血栓塞栓症に対するカテーテル治療は治療効果の高さと侵襲性の低さから,近年注目されるようになってきた.カテーテル的血栓溶解療法とカテーテル的血栓破砕・吸引術に分類するのが一般的で,後者はさらに,血栓吸引術(Aspiration thrombectomy),血栓破砕術(Fragmentation),流体力学的血栓除去術(Rheolytic thrombectomy)に分けられる.他の内科的治療法や外科的治療法との多施設前向きランダム試験は実施されていないが,本法の治療効果と安全性に関しては,少数のコホート研究ではあるが外科的血栓摘徐術に匹敵することが示唆されている.本稿では,適応,手技の実際,合併症などにつき概説するとともに,われわれが考案した血栓溶解・破砕・吸引を組み合わせたハイブリッド治療についても言及した.