静脈学
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症例報告
エドキサバンにより治療したトルーソー症候群の1例
白杉 望堀口 定昭川上 利光白土 裕之小野 寿子森田 直巳関 順彦川島 悠滝川 一新見 正則塚本 充雄藤井 正一
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2017 年 28 巻 3 号 p. 293-299

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抄録

症例:73歳女性.主訴「右足首が硬く腫れて痛い」.主訴自覚1カ月後に当院初診.既往歴:50歳代に左乳癌手術加療,術後15年フォローされ診療終了.初診時身体所見:両下肢静脈瘤や表在静脈怒張なし.深部静脈血栓症を疑わせる腫脹もなし.右外踝に表在性血栓性静脈炎あり.血中D-dimer: 9.9 µg/mLと異常高値.Duplex scanにて右ヒラメ筋中央・外側静脈に血栓,胸部CT検査にて両肺動脈血栓を認めた.表在性血栓性静脈炎,下腿限局型深部静脈血栓症,無症候性肺動脈血栓塞栓症の診断,エドキサバンにより内服加療した.採血検査にて血栓性素因なく誘因不明の血栓症と診断,全身検索したところ,肝弯曲部大腸癌が発見された.本症例は,下肢静脈瘤等,静脈うっ滞の乏しい患者における下肢静脈血栓症では,悪性腫瘍等向血栓性疾患の併存有無を精査するべきことを示唆している.文献的考察を踏まえて報告する.

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