静脈学
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症例報告
肺塞栓症を契機に発見された膝窩静脈Venous Aneurysmの1例
斉藤 貴明犬塚 和徳海野 直樹山本 尚人佐野 真規杉澤 良太
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2017 年 28 巻 3 号 p. 301-304

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抄録

膝窩静脈性血管瘤(popliteal venous aneurysm; PVA)は限局的拡張病変で稀な疾患である.無症状のことが多いが,肺塞栓症の原因となることがあり,外科治療の適応となる.症例は62歳女性.呼吸困難を主訴に当院救急外来を受診し,造影CT検査で両側肺動脈塞栓症および内腔に血栓を有し多発する右PVAを認めた.当院入院後,血栓溶解療法と抗凝固療法により,呼吸症状は改善したが,肺塞栓症の原因となったPVAに対して手術を行うこととした.腹臥位での後方アプローチで,PVAの中枢側は縫縮術,末梢側は瘤切除と端々吻合術を施行した.術後の造影CT検査で肺塞栓は消失し,再建した膝窩静脈に狭窄や血栓を認めず,第9病日に退院となった.

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