静脈学
Online ISSN : 2186-5523
Print ISSN : 0915-7395
ISSN-L : 0915-7395
原著
血管内焼灼術に伴う神経損傷,深部静脈血栓症を防ぐための治療戦略—Okamura Pain Scaleによる新しい疼痛管理—
山本 賢二山田 知行羽室 護瀬戸崎 修司榎本 栄
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2017 年 28 巻 3 号 p. 323-328

詳細
抄録

【目的】血管内焼灼術に伴う合併症である神経損傷・深部静脈血栓症(DVT)を防ぐには適切な治療戦略が必要である.全例局所麻酔下の手術で,術直後からの積極的な歩行が効果的かどうか検証した.【対象】2014年12月から2016年12月まで血管内高周波焼灼術を行った439例を対象.年齢65.0±11.3歳,男性146例,女性293例.【方法】手術は1泊2日入院で,片足ずつ局所麻酔下で施行.神経損傷を避けるために,下腿末梢1/3のGSV本幹をマーキング.瘤切除はstab avulsion法を使用.DVT予防にはガイドラインを順守.術後は病棟内200 m歩行を4~5回/hr促した.術中の疼痛はOkamura pain scale(以下OPS: 0–5)を用いて客観的に評価.術後にnumerical rating scale(NRS:0–10)を問診.【結果】TLA: 615.9±153.4 mL, stab avulsion: 12.3±8.3カ所.手術時間:39.2±15.2分.術直後より全例歩行可能.直近164例のOPS scoreは1.8±1.3, NRS scoreは3.2±2.0.DVT, 肺塞栓症の発生なし.【結論】神経損傷とDVTを予防するには,局所麻酔下に手術を施行し,術直後からの十分な歩行が重要であった.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top