静脈学
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原著
静脈性潰瘍(Venous Ulcer)—本邦における静脈疾患に関するSurvey XIX—
白石 恭史八巻 隆孟 真佐戸川 弘之西部 俊哉山田 典一根本 寛子
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2018 年 29 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

本邦における静脈性潰瘍に対する診療の現状を明らかにすることを目的として日本静脈学会会員が所属する施設へのアンケート調査を実施した.対象は平成28年1月から一年間の下肢静脈性潰瘍の初診患者とした.診断には超音波検査が94.4%に用いられ,静脈疾患受診者31,827例に対して513例が静脈性潰瘍と診断された.潰瘍の原因は一次性静脈瘤が497肢(84.7%)と圧倒的に多く,そのうち187肢に不全穿通枝が,27肢に深部静脈弁不全が合併していた.深部静脈血栓後遺症は29肢(4.9%),機能性慢性静脈不全が42肢(7.2%)であった.外科的治療はストリッピング術が89肢(23.2%),血管内焼灼術が282肢(73.4%)に,不全穿通枝に対する直達結紮切離術は55肢(28.9%),筋膜下内視鏡的穿通枝切離術は51肢(26.8%)であった.圧迫療法は専門施設受診前には44%で施行されておらず,受診後は94.1%に実施されていた.治療を受けた静脈性潰瘍520肢のうち平成29年3月末までに409肢(78.7%)が治癒した.

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