2019 年 30 巻 3 号 p. 259-265
現在大伏在静脈型の下肢静脈瘤の標準治療としては血管内焼灼術が主体となっている.その背景として,欧米では大伏在静脈ストリッピング時の深部静脈接合部高位結紮後にできる新生血管に起因する再発率の高さが強調されてきたが,日本では同様の中長期成績はほとんど示されていない.今回,血管内焼灼術が自分の選択肢になかった2011年9月~2014年3月に,自身が術者として同一手技で行った大伏在静脈ストリッピング症例連続305例413肢に5年後連絡を取り,うち連絡のついた生存例287例391肢で再発,再手術について調査した.臨床症状を有する再発は29肢(7%),うち再手術は調査後に行った15肢を含め23肢(6%)であった.270肢(69%)に静脈エコーを施行して再発部位を分析した結果,とくに深部静脈接合部付近の再発に限ると,臨床症状を有する再発は3肢(新生血管2肢,高位結紮遺残部側枝1肢)で,そのうち再手術は1肢と,欧米の諸報告よりかなり少なかった.