静脈学
Online ISSN : 2186-5523
Print ISSN : 0915-7395
ISSN-L : 0915-7395
症例報告
透析アクセス関連盗血症候群を合併した穿刺範囲が狭い透析アクセスに対してProximalization of the Arterial InflowとBasilic Vein Transpositionが奏功した1例
伊從 敬二三森 義崇橋本 良一
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 31 巻 1 号 p. 29-33

詳細
抄録

透析アクセス関連盗血症候(DASS)の治療は内シャントの血流を保ちつつ末梢動脈の血流量を増加させる必要があるため容易ではない.今回,穿刺範囲が狭い内シャント症例のDASSに対して,basilic vein transposition(BVT)とproximalization of the arterial inflow(PAI)を行った.症例は49歳,女性.糖尿病性腎症で5年前に血液透析が導入され,2年前より透析時の左手指の痺れを自覚し,その後,安静時痛となった.内シャントは左尺側正中皮静脈の約5 cmの範囲でのみで穿刺が可能であった.左橈骨,尺骨動脈の拍動は触知されず,左前腕血圧/対側上腕血圧は50/130 mmHgであった.DASSに対して径5 mmの人工血管でPAIを行い,BVTを行った.術後,症状は消失し十分な自家静脈穿刺部も確保された.PAIとBVTの同時施行が有用であった症例を経験したので報告する.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top