静脈学
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31 巻 , 1 号
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原著
  • 戸島 雅宏, 森野 良久
    2020 年 31 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2020/01/30
    公開日: 2020/01/30
    ジャーナル フリー

    国際リンパ学会分類病期IIの下肢リンパ浮腫患者36名46下肢を対象に,In Body770を用いて部位別細胞外水分量(ECW),細胞内水分量(ICW),総水分量(TBW)を測定し,下肢腫脹率,超音波皮下組織エコーフリースペース(FS)所見と対比,複合的理学療法(CDT)前後の変化を検討した.患肢ECW/TBW比0.410は健側0.391に比べ有意に高値で,下肢平均腫脹率とECW/TBWの患側/健側比に有意の相関を認めた.リンパ浮腫肢のFS分類3群間でECW/TBW比に有意差を認めた.CDT前後のECW/TBW比は,患肢で0.432から0.414へ,体幹で0.413から0.402へ有意の減少を認め,両上肢は変化を認めなかった.多周波数インピーダンス法による部位別水分量測定は,リンパ浮腫腫脹度,皮下エコー所見とよく相関し,CDT前後の水分変動を表示でき,リンパ浮腫の定量的評価法として有用と考える.

  • 小窪 正樹, 高橋 佳史
    2020 年 31 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2020/01/30
    公開日: 2020/01/30
    ジャーナル フリー

    小伏在静脈(SSV)の高位結紮術は技術的に困難や神経障害および深部静脈損傷の危険性により,多くの施設でflush ligationが行われていない現状がある.われわれは,SSVのflush ligationを容易にする「膝屈曲肢位による結紮術」を考案し伏在膝窩静脈接合部(SPJ)近傍の限局瘤症例に応用したので報告する.【対象】SPJ近傍に限局瘤を認めた下肢静脈瘤6例に本術式を施行した.瘤径は20 mm以上が3例,接合部までの距離は5 mm以下が5例を占めた.【手術方法】麻酔はTLAと静脈麻酔を併用.膝窩部にϕ7 mmの皮膚切開を加えSSVを露出し結紮離断.SSV中枢端を挙上して分枝を処理し剝離が限界に達したところで膝関節を45度以上の屈曲位とする.この操作によりSSVは15 mmほど手前に牽引挙上されflush ligationが容易となる.【結果】手術時間は平均37分.6例全例において瘤の中枢側で高位結紮を終了できた.神経障害,深部静脈血栓,肺塞栓等の合併症はなかった.【結論】本法は簡便,安全な手技であり,今後の普及が期待される.

  • 山本 賢二, 三和 千里, 瀬戸崎 修司, 羽室 護, 榎本 栄
    2020 年 31 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2020/01/30
    公開日: 2020/01/30
    ジャーナル フリー

    【目的】静脈性潰瘍の治療方針はさまざまな議論がある.今回当施設で治療を行った一次性下肢静脈瘤のうちC6症例を検討しその有効性を検証した.【方法】2014年12月より2019年1月まで高周波を用いて治療した917症例のうち,有潰瘍例の17例を検討対象とした.男6例:女11例:平均年齢70.1歳.主な治療戦略は (1)下腿静脈瘤は不全穿通枝も含めて可及的にstab avulsion法で切除(2)潰瘍部は1日2回,シャワーで洗浄後,被覆材で半閉鎖(3)圧迫療法は潰瘍治癒まで継続【成績】C6で手術を施行した17例の平均手術時間49.1分,stab avulsion 12.9カ所.3例は6カ月以上びらんが残存するもステロイド外用で治癒した.潰瘍が治癒した17症例で手術から潰瘍治癒までに要した期間は中央値54日(13–365)【結論】高周波治療に加えて十分な瘤切除,湿潤療法と圧迫療法を行い,約2カ月で潰瘍治癒した.

  • 宇藤 純一, 塚本 芳春
    2020 年 31 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2020/03/25
    公開日: 2020/03/25
    ジャーナル フリー

    2010年に日帰りストリッピング手術を行った269名の患者を対象に,術後8年を経過した2019年1月に遠隔期再発に関するアンケート調査を実施した.術後再発の有無に加えて,うっ血症状,皮膚病変,再手術の有無,また手術満足度などについてアンケート用紙を送付した.最終的に得られた回答は133通で,実質回収率55.2%であった.静脈瘤の再発に関しては,25名(19%)が自覚的に「再発している」と回答した.再発のために再手術を受けた人はいなかったが,1名が当院を再受診し硬化療法を受けていた.5段階で評価した手術満足度は,とても満足64%,まあ満足28%,ふつう5%,やや不満3%,大変不満0%という結果であった.

  • 長谷川 祐三, 瀬戸口 大毅, 細野 純二, 堺田 司, 井内 俊彦
    2020 年 31 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2020/04/15
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    【目的】がん関連静脈血栓塞栓症(VTE)は治療適応・期間など不明な点が多い.【方法】2016–2018年にVTEを認めたがん患者を対象とし症候性再発・大出血・血栓残存のリスクを多変量解析した.【結果】対象は151例で無症候が74.8%を占めた.1年再発率は6.5%,大出血率15.4%で,再発リスクは診断時Dダイマー3.0 µg/mL以上(ハザード比(HR)>10, P=0.003)と抗血小板薬併用(HR 7.59, P=0.039),大出血リスクはPerformance status(PS)3以上(HR 3.94, P=0.007)だった.血栓残存期間中央値は29日で残存リスクは肺塞栓非合併(HR 1.75, P=0.015)とがん再発期(HR 1.66, P=0.021)であった.【考察】無症候例も治療対象と考える.多くの血栓は3カ月以内に消失し,がんの寛解や早期抗凝固療法終了は再発リスクではなく,診断時Dダイマーが治療継続を判断する良い指標となる.

症例報告
  • 伊從 敬二, 三森 義崇, 橋本 良一
    2020 年 31 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/04/01
    ジャーナル フリー

    透析アクセス関連盗血症候(DASS)の治療は内シャントの血流を保ちつつ末梢動脈の血流量を増加させる必要があるため容易ではない.今回,穿刺範囲が狭い内シャント症例のDASSに対して,basilic vein transposition(BVT)とproximalization of the arterial inflow(PAI)を行った.症例は49歳,女性.糖尿病性腎症で5年前に血液透析が導入され,2年前より透析時の左手指の痺れを自覚し,その後,安静時痛となった.内シャントは左尺側正中皮静脈の約5 cmの範囲でのみで穿刺が可能であった.左橈骨,尺骨動脈の拍動は触知されず,左前腕血圧/対側上腕血圧は50/130 mmHgであった.DASSに対して径5 mmの人工血管でPAIを行い,BVTを行った.術後,症状は消失し十分な自家静脈穿刺部も確保された.PAIとBVTの同時施行が有用であった症例を経験したので報告する.

  • 町田 雄一郎, 髙木 晶, 小畑 貴司
    2020 年 31 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/04/01
    ジャーナル フリー

    癌に合併した血栓症は,Cancer-associated Thrombosis(CAT)と呼ばれる.癌患者は血栓症を発生しやすく,CATは予後にも関わるため,癌診療において重要な問題である.今回われわれは,下腿浮腫を契機に発見された子宮内膜癌の一例を経験したので報告する.症例は40歳代女性.左腓腹部痛を自覚.症状改善ないため,当院救急を受診した.精査の結果,左下肢DVT,無症候性肺塞栓症,および子宮内膜癌・両側卵巣腫大・骨盤内リンパ節腫大疑い・傍腹部大動脈リンパ節腫大を認めた.以上より,子宮内膜癌に伴うCATと診断した.CATに対する抗凝固療法として,まずはヘパリン投与を行った後に,エドキサバン60 mgの内服を開始した.婦人科の腫瘍に対しては手術を施行し,その後術後化学療法を6コース施行したが,出血やDVTの増悪は認めなかった.今後さらなる症例の蓄積により,CATの早期発見や治療方法の確立を目指す必要がある.

  • 家村 順三, 山本 芳央, 神原 篤志, 藤井 公輔
    2020 年 31 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2020/05/01
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル フリー

    症例は70歳,女性.肺梗塞の既往からプロテインS欠乏症と判明し,ワーファリンによる抗凝固療法が行われてきた.左下腿下部外側に掻痒感のある色素沈着を伴う皮疹が出現.深部静脈に血栓はなく,左小伏在静脈(SSV)に病的逆流を伴う瘤化が認められた(CEAP分類C4a).手術は1470 nm ELVeSレーザーradial 2-ringで施行した.術翌日,小伏在静脈膝窩静脈接合部(SPJ)でのclass II~IIIのendovenous heat induced thrombosis(EHIT)が認められた.INRは1.35であった.ワーファリン増量で血栓はSSV内にすみやかに後退した.プロテインS欠乏症など血栓性素因疾患で,やむを得ずレーザー焼灼を施行する場合は,十分な抗凝固のもとに行うべきであると考えられた.

その他(手術の工夫)
  • 田代 秀夫
    2020 年 31 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2020/02/25
    ジャーナル オープンアクセス

    血管内焼灼術後にも再発ないし残存した静脈瘤の逆流起始部にエコーガイド下フォーム硬化療法(UGFS:Ultrasound-guided Foam Sclerotherapy)を試みたので報告する.2018年1月~2019年4月にUGFSを行った51例55肢を対象とした.部位別には,下腿不全交通枝20肢,大伏在静脈12肢,小伏在静脈8肢,伏在静脈分枝再発2肢,副伏在静脈とGiaconomi Veinの各1肢であった.1~3%のPolidocanol Foamを逆流の起始部静脈内に1 mL以下で使用し,圧迫枕子と弾性包帯で固定した.翌朝以後,弾性ストッキング着用を励行した.術後1カ月前後の超音波検査にて55肢中52肢において逆流消失を認め,3肢は,弾性ストッキングが着用できず,術後の圧迫不良のため,再度の硬化療法を要した.平均観察期間(10.2カ月)中,早期の再燃ならびに合併症は経験していない.焼灼術後に残存ないし再発した静脈瘤へのエコーガイド硬化療法は,低侵襲かつ安全な治療手段である.

ガイドライン
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