【目的】がん関連静脈血栓塞栓症(VTE)は治療適応・期間など不明な点が多い.【方法】2016–2018年にVTEを認めたがん患者を対象とし症候性再発・大出血・血栓残存のリスクを多変量解析した.【結果】対象は151例で無症候が74.8%を占めた.1年再発率は6.5%,大出血率15.4%で,再発リスクは診断時Dダイマー3.0 µg/mL以上(ハザード比(HR)>10, P=0.003)と抗血小板薬併用(HR 7.59, P=0.039),大出血リスクはPerformance status(PS)3以上(HR 3.94, P=0.007)だった.血栓残存期間中央値は29日で残存リスクは肺塞栓非合併(HR 1.75, P=0.015)とがん再発期(HR 1.66, P=0.021)であった.【考察】無症候例も治療対象と考える.多くの血栓は3カ月以内に消失し,がんの寛解や早期抗凝固療法終了は再発リスクではなく,診断時Dダイマーが治療継続を判断する良い指標となる.
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