静脈学
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症例報告
下腿浮腫を契機に発見された子宮内膜癌によるCancer-associated Thrombosisの一例
町田 雄一郎髙木 晶小畑 貴司
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 31 巻 1 号 p. 35-38

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抄録

癌に合併した血栓症は,Cancer-associated Thrombosis(CAT)と呼ばれる.癌患者は血栓症を発生しやすく,CATは予後にも関わるため,癌診療において重要な問題である.今回われわれは,下腿浮腫を契機に発見された子宮内膜癌の一例を経験したので報告する.症例は40歳代女性.左腓腹部痛を自覚.症状改善ないため,当院救急を受診した.精査の結果,左下肢DVT,無症候性肺塞栓症,および子宮内膜癌・両側卵巣腫大・骨盤内リンパ節腫大疑い・傍腹部大動脈リンパ節腫大を認めた.以上より,子宮内膜癌に伴うCATと診断した.CATに対する抗凝固療法として,まずはヘパリン投与を行った後に,エドキサバン60 mgの内服を開始した.婦人科の腫瘍に対しては手術を施行し,その後術後化学療法を6コース施行したが,出血やDVTの増悪は認めなかった.今後さらなる症例の蓄積により,CATの早期発見や治療方法の確立を目指す必要がある.

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