下肢静脈瘤および深部静脈血栓症に対しては,超音波検査による評価が重要である.超音波検査の実施にあたり,被検者は可能な限り立位で行うことが基本であり,ベッドあるいは室内の壁に寄りかかり,検査肢に重心をかけた状態でいる必要がある.検査が長引く場合,被検者はその立位を保つことが困難であり,高齢の被検者となればなおさら,安全面でも課題がある.今回,われわれは高齢者の検査中の安全確保を目的として,介護用品である手摺付きステップ台を下肢静脈超音波検査用に改良した.これにより,当初の目的であった被検者の安全確保だけでなく,検者の身体負荷を軽減するという利点も得られた.加えて,超音波検査の時間は短縮し,被検者の立位の安定による検査の精度向上にも寄与した.この考案した手摺付きステップ台を用いることで得られる利益は多い.今後,普及・改善がなされれば,下肢静脈超音波検査の質をより高められるものと期待する.