静脈学
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原著
2年間の下肢静脈瘤血管内塞栓術の症例選択と初期成績
草川 均
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 34 巻 3 号 p. 393-399

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抄録

2020年より日本で一般に保険診療が可能となった下肢静脈瘤の伏在静脈に対する当施設の血管内塞栓術の症例選択と初期成績について報告する.症例は2021年12月までの連続206例,277肢,283本で,大伏在静脈238本,小伏在静脈45本であった.症例選択は,本治療と他治療の特徴ならびに各患者の病変の特徴を患者に説明し,両側同時治療希望者や下腿中部以下までの治療が必要な方を中心に治療した.結果的に同期間の伏在静脈治療全549本中283本(51.5%)に本治療を行った.93.3%に術後6カ月までの来院診療を,非来院の19本中17本に電話で状態確認を行った.閉塞率は95.8%,再疎通12本(大伏在9小伏在3)はすべて部分的で,4本に再治療を行った.2度以上の深部静脈接合部血栓は2.1%,塞栓物関連の炎症性合併症は7.9%に見られたが,10肢は無治療,残る12肢は対症療法で術後5週までには軽快した.本治療は使用局所麻酔量が少ない,神経障害がないという長所が生きる症例でとくに有用と考えられた.

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