静脈学
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症例報告
骨盤うっ滞症候群8例の治療経験
久米 博子小泉 伸也櫻澤 健一本間 香織岸野 充浩岩井 武尚
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2023 年 34 巻 3 号 p. 351-356

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抄録

骨盤うっ滞症候群は骨盤,腹部,背部の慢性的な鈍痛,非典型的な下肢静脈瘤,再発を繰り返す下肢静脈瘤や下肢痛などを呈する症候群である.その原因の多くは左卵巣静脈の逆流であると言われている.左卵巣静脈の逆流を伴う骨盤うっ滞症候群8例についての治療経験を報告する.【症例】2008年から2020年に当科で治療した女性8例.34–64歳(平均46.5歳).【治療】下肢または陰部静脈瘤に対してはEVLAと硬化療法で治療し,7例に左卵巣静脈コイル塞栓術を施行した.【結果】1例はEVLAと硬化療法で症状軽快を得た.7例のコイル塞栓術後,4例に卵巣静脈逆流の残存または再発を認めた.そのうち1例は症状再発にて再度左卵巣静脈のコイル塞栓術を施行した.再施行の1例を含め,全例に症状の軽快を認めた.コイル塞栓術による合併症や症状の増悪は認めなかった.【結語】卵巣静脈コイル塞栓術は重篤な合併症が少なく,症状の改善に有効である.

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