原発性リンパ浮腫は確実な治療法が確立しておらず,発症から長期の治療経過について詳細な報告はわずかである.治療の選択肢としては保存的治療と外科治療があり,前者は患者自身によるセルフケアが中心となり,後者はリンパ管静脈吻合術,リンパ管・リンパ節移植,脂肪吸引などが挙げられる.完治がないため,永続的な治療に対しての不安や状態維持が困難なために治療から離脱する患者も見受けられる.思春期に発症した早発性原発性リンパ浮腫患者は,身体の成長変化や学生生活から社会人へと環境も変化する.そのため少ない負担で継続できる保存的治療や,また外科治療前後における効果的な保存的治療の提案が求められる.本稿は14歳時に左下肢リンパ浮腫を発症し27歳までの13年間における保存的治療と外科治療による臨床データに加えて日本語版LYMQOL評価の経過を追った症例を報告する.