日本写真学会誌
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写真乳剤の分析に基づく原子核乳剤の特徴把握
谷 忠昭
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2008 年 71 巻 5 号 p. 308-317

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抄録

写真感度は乳剤の光吸収率と潜像形成効率に依存し, それらにとって本質的に重要な因子はハロゲン化銀粒子のサイズである. 本報は粒子サイズ依存性の観点から写真乳剤の性能を概観する中で, OPERAおよび暗黒物質検出用原子核乳剤の位置づけをする. 写真乳剤を3つに分類した. クラスIの粒子 (>0.5μm) は高い吸光度のために高感度であり, カラーフィルムなどに用いられる. クラスIIの粒子 (0.2μm~0.5μm) は基本的に欠陥フリーで高効率の潜像形成を可能にする環境を提供し, OPERA用粒子はこのクラスに属する. クラスIIIの粒子 (>0.1μm) は暗黒物質の検出用に期待されているが, 未だ十分には調べられていない. それらの形成, 物性および感光性は量子サイズ効果の発現, 個々の粒子中の増感中心, 不純物イオンあるいはかぶり中心などの数がきわめて少ない点で興味深い.

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