日本写真学会誌
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原子核乾板を用いたポータブル放射線モニターの開発
平 義隆濱田 要森島 邦博中野 敏行加藤 政博山崎 潤一郎
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キーワード: 放射線計測, 放射線防護
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2008 年 71 巻 5 号 p. 324-326

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抄録

現在, 加速器 (日本に約200基) の利用は, 素粒子実験, 放射光利用, アイソトープ製造, 重粒子線がん治療用など多岐にわたる. これら加速器施設では, 安全確保, 加速器自身の性能診断などのために放射線計測が日常的に行われている. 使用されている計測器は, 強度を測定するだけであり, 運転中の加速器の周りで飛散している放射線の角度分布, 運動量 (エネルギー) 分布などに関する情報は得られない. 放射線の到来方向やエネルギーを精密に計測することで加速器のどこで放射線が発生しているのかを正確に突き止めることは, 加速器で起きているビーム損失の原因究明, あるいは, 効率的な遮蔽を可能にするために, 極めて有益な情報となる. 原子核乾板を用いれば, 加速器周辺で飛散している1本1本の放射線の粒子識別, 角度分布, 運動量分布, fluxを測定することができる. 検出器を狭い場所にも設置できるため, 機器が多数置かれている加速器周辺の放射線モニターに適している.
また, 放射線を用いた非破壊検査や医療診断に応用できるようになれば, その優れた位置検出性能を活かすことで通常型の放射線検出器を利用したのでは不可能な精密な計測が行えるようになるはずである.

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