抄録
2014 年に噴火が発生した御嶽山南麓には王滝川が流下しており,その下流には,中京圏の工業用水や農業用水などの水源となっている牧尾ダムがある.火山噴火口周辺は火山ガスや硫黄酸化物が堆積しており,王滝川左岸の支川の一つに,その火口が存在する谷を源流にもつ濁川は硫酸酸性を呈している.そのため,濁川が王滝川本川に合流すると水質が大きく変化することが分かっている1).一方で,右岸側は,火山噴火の影響を受けていない河川が存在し,それら複数の支川が流れ込み王滝川を形成している.さらに,両岸の支川堰堤では,水力発電用の取水が行われており,その取水量の大小が王滝川本川に流れ込む水量や水質へ影響を及ぼしている2).そこで,本研究では,火山域に特徴的な硫酸イオンに着目し,王滝川本川での取水量の有無を考慮した硫酸イオン流出負荷量を算出することを目的に調査を行った.