抄録
流域から沿岸への物質輸送は人間活動(都市化や農業)の影響により世界規模で増大しており、その定量化は海洋環境の保全、生物生産の確保や炭素固定などの点で重要であり、SDGs の達成において必須である。SWAT モデルは流域規模で栄養塩流出を予測する上で有益なモデルであり、特に土地利用や気象・流量情報があれば、長期的に復元が可能であり、大阪湾では水質情報のない1950 年ころまで栄養塩流出が復元され(Wang et al.2022)、その汚染強度が明らかになってきた。一方、海底の堆積物情報も年代とともに計測することで流域環境(汚染強度)の復元に活用されてきたが、保存性の良い重金属に限られていた(Hosono et al.2010)。
本発表では、長期の栄養塩流出を復元し都市化の影響を明らかにすることを目的とし、現在実施中のAPN Global P(2019-2024;PI 小野寺)、科研国際B(インドネシア2021-2024;代表小野寺)などの大阪湾流域、インドネシアジャカルタ湾流域における成果を紹介したい。