2021 年 13 巻 4 号 p. 337-340
症例の概要:患者は初診時71歳の女性,1990年に左側舌縁部舌癌(T3N0M0)の診断のもと,舌辺縁切除,1999年に再発後の小線源療法が施行された.その後,2016年 65| 欠損による咀嚼障害および,舌癌術後の嚥下・構音障害を主訴として,紹介・受診となった.
考察:65| 欠損歯に対して,部分床義歯を製作し併行して舌訓練を行った.嚥下および構音の変化を確認したのち,舌接触補助床(PAP)を製作し,嚥下造影検査(VF)にて機能の改善を確認した.PAP装着前と比較してPAP装着後の舌圧は高い値を示した.また構音機能も一部障害は残ったが,おおむね改善しており,現在も問題なく機能している.
結論:PAPによる嚥下・構音機能の改善に伴い,患者満足度は高いものとなった.