身体運動文化研究
Online ISSN : 2436-8032
Print ISSN : 1340-4393
原著論文
韓国の伝統的民俗遊戯とスポーツ文化
全 梅姫
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1997 年 4 巻 1 号 p. 43-53

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抄録

 これは、韓国における伝統的民俗遊戯とスポーツ文化との関連についての文献研究である。この研究の目的と意義は、約210種類におよぶ伝統的民俗遊戯とスポーツとの新しい関係を探ることによって西欧スポーツに完全に傾倒され、歪められた今日の遊戯•スポーツ文化を改善する道を見出すとともに、健全で新しい質のスポーツ文化を創り出すことである。

 本研究の内客は、以下のように要約できる。

 韓国の民俗遊戯は、民衆によって形成され、人々の間に根を下ろし、そして労働やレクリエーション、祭礼を含む地域社会の祭り文化を象徴するものとして発展していった。

 韓国は儒教文化圏に属するにもかかわらず、栄える遊戯文化を持っていた。それはTure(農繁期で相互協力するための集まり)、部落祭(Purakje:村祭)、契(Kye:共済組合)、Paenori (集団遊び)、大同遊び(Taedongnori:民俗音楽や唄を歌いながらの集団遊び)というような遊戯の生産性と地域性が大変価値あるものとして考慮されていることからも分かる。

 そのような伝統的民俗遊戯は約210種類あるが、それは参加者の性や年齢で分類される。遊戯の27%は成人男子向きで、20.85%は幼•少年向きである。そこには儒教の影響がみられる。参加方式としては、対戦遊戯が47.39%、集団遊戯が44.3%である。そこには、民俗遊戯の共同体的文化としての特徴が表れているといえる。そして地方的遊戯は、レクリエーション的な特徴を持ち、31.25%が遊戯それ自体を目的としている。

  伝統的民俗遊戯とスポーツの関係の可能性は、テコンドー(Taekwondo)とSsireum (韓国 式相撲)に見られ、これらは民俗遊戯からはじまり制度化されたスポーツ種目へ発展した。特に、テコンドーは国際的なスポーツとなった。したがって、我々は、伝統的民俗遊戯を健全で新しい質のスポーツとして保存し、伝えなければならない。なぜならば、我々はそれらを通して遊戯やスポーツにおける韓国文化の新しい地平を見つけることができるからである。

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© 1997 身体運動文化学会
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