順天堂医学
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原著
髄膜腫200例の臨床病理学的検討
水口 國雄
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1981 年 27 巻 2 号 p. 147-158

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抄録

手術材料を中心として, 髄膜腫200例の臨床病理学的分析を試みた. 腫瘍の発生部位・性比・手術時の年令など, 臨床的事項では従来の報告をほぼ裏づける結果を得た. 各組織型の出現頻度にも従来のものとの間に特別の差異は見られない. しかし, 髄膜由来の悪性腫瘍と呼べる例が194例中15例 (7.7%) であり, このうち狭義の悪性髄膜腫は10例 (5.2%) で, 他の報告に比べ高い頻度を示した. 次に4個の組織学的パラメーター (核分裂数・壊死・核異型・浸潤性) により, 腫瘍の異型度を点数で表現し, 最終的にGradeI-IVに分類した. Rubinsteinの方法による分類と, このGradingsystemとの一致率は96.3%であった. この分類を用いて腫瘍に対する再手術例の頻度を比較すると, GradeI 10.1, GradeII 21.1, GradeIII 33.3, GradeIV 75%と比較的良い相関を示した. パラメーター以外の組織成分の各Gradeにおける出現頻度を調べると, 砂粒腫体・黄色腫細胞・lipomyxomatous変化などは低いGradeで認められ, 一応良性指標と見なすことができる. これに対して硝子化や渦紋状配列は, 良性・悪性の指標になり得えない. GradeI 7例, GradeIII 1例, GradeIV 2例の計10例の電顕的検索を行った. GradeIとIIIの例で, 上皮様から線維芽細胞への移行を認めた. GradeIIIの例ではinterdigitationの減少や, 核のinvaginationの増加が見られるが, 基本的にはmeningothelとしての性質を保っている. GradeIVの一例はangioblasticな性格が示され, 他のGradeIVは全く未分化な細胞から成っていた.

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© 1981 順天堂医学会
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