順天堂医学
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原著
先天性胆道閉鎖症の臨症的病理組織学的研究
第1編 肝細胞変化と予後について
小嶋 康則
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1981 年 27 巻 3 号 p. 305-315

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抄録
先天性胆道閉鎖症の根治術時生検肝84症例を病理組織学的に検討した結果, 肝実質細胞の病態像は, 単位面積あたりの肝細胞核数により3群に大別 (Cn分類) された. [ (130μ) 2中の肝細胞核数について, C1群: ≦37. C2群: 38≦. ≦48. C3群: 49≦] その内訳けは, C1群: 40例. C2群: 37例. C3群: 7例であった. なお, 対照例としては, 9例の肝病変のない乳児病理解剖例と, 5例の生検肝を使用した. Cn分類と肝線維化度 [F1 (軽度) -F3 (高度) ]] との関係については, C1群やC2群では線維化軽度から中等度の症例が多かった. Cn分類と肝門部肝外胆管の内径との関係では, C1群やC2群に100μ以上の管腔をもつ例が多かった. Cn分類と手術時日令との関係では, C1群は若年層に, C3群は, より高年層に多くみられた. Cn分類と予後については, C1群やC2a群 [C2群の亜群] に予後良好な症例が多く, 予後A (good) の症例25例中22例 (88%) がC1群, 又はC2a群であった. 一方, C3群のうち85.7%が予後不良の経過を示した.
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© 1981 順天堂医学会
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