順天堂医学
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27 巻, 3 号
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目次
Contents
特集 臨床と関係深い病理のトピックス
原著
  • 小川 雅博
    1981 年27 巻3 号 p. 290-304
    発行日: 1981/09/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    I. Harary並びにB. Farleyらの方法に準じて, 生後2日のWistar系ラット心臓を培養した. 培養心筋細胞の組織再構築過程を位相差顕微鏡, および走査型・透過型電子顕微鏡で観察した. さらに培養細胞にPAS, 酸性フォスファターゼ染色を行ない, 一般作業筋細胞と刺激伝導系細胞の区別を組織化学的に検討した. 1) 円形並びに多角形の細胞表面に微細絨毛を持つ細胞は心筋細胞であり, 隣接細胞とは細胞体から延びるlong cytoplasmic extensionにより結合していた. 培養3日目には, 単一細胞からなる細胞集合体を認め, 8日目には細胞集合体による網目構造へと発育した. 2) PAS陽性顆粒は唾液消化試験によりグリコーゲンであり, PAS染色陽性細胞には強陽性, 弱陽性の2種類を区別出来る. PAS強陽性細胞は大型多角形, 酸性フォスファターゼ活性高値を示し, これは左心室自由壁よりの培養細胞に多くみられ, 対照生体のプルキンエ細胞と一致した. 一方PAS弱陽性で酸性フォスファターゼ活性高値を示し, 三角形でclear zoneを持つ細胞は房室結節由来であり, PAS弱陽性で酸性フォスファターゼ活性低値の円形細胞は一般作業筋細胞と考えられた. さらにPAS陽性顆粒に乏しく, グリコーゲンを認めないか, または少量の紡錘形細胞は結合組織系細胞と考えられた. 3) 組織化学的に酸性フォスファターゼ活性高値の細胞はPAS染色陽性であり, 培養心筋細胞においても, 刺激伝導系細胞は一般作業筋細胞より嫌気性解糖が旺盛であると考えられた.
  • 第1編 肝細胞変化と予後について
    小嶋 康則
    1981 年27 巻3 号 p. 305-315
    発行日: 1981/09/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    先天性胆道閉鎖症の根治術時生検肝84症例を病理組織学的に検討した結果, 肝実質細胞の病態像は, 単位面積あたりの肝細胞核数により3群に大別 (Cn分類) された. [ (130μ) 2中の肝細胞核数について, C1群: ≦37. C2群: 38≦. ≦48. C3群: 49≦] その内訳けは, C1群: 40例. C2群: 37例. C3群: 7例であった. なお, 対照例としては, 9例の肝病変のない乳児病理解剖例と, 5例の生検肝を使用した. Cn分類と肝線維化度 [F1 (軽度) -F3 (高度) ]] との関係については, C1群やC2群では線維化軽度から中等度の症例が多かった. Cn分類と肝門部肝外胆管の内径との関係では, C1群やC2群に100μ以上の管腔をもつ例が多かった. Cn分類と手術時日令との関係では, C1群は若年層に, C3群は, より高年層に多くみられた. Cn分類と予後については, C1群やC2a群 [C2群の亜群] に予後良好な症例が多く, 予後A (good) の症例25例中22例 (88%) がC1群, 又はC2a群であった. 一方, C3群のうち85.7%が予後不良の経過を示した.
  • 北村 成大
    1981 年27 巻3 号 p. 316-329
    発行日: 1981/09/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    現在, 胃に発生する癌は腸上皮化生粘膜上皮に由来する管腔形成の明瞭な分化型腺癌と, 胃固有粘膜上皮に由来する管腔形成の不明瞭な未分化型腺癌とに大別されているが, ごく稀に腺扁平上皮癌をみることがあり, その発生頻度は全胃癌の0.1-0.4%である. 又その発生由来に関しては, (1) 既存の胃内扁平上皮巣の癌化, (2) 既存の腺癌の扁平上皮化生, (3) 多分化能のある未分化癌細胞の一形態として, 等が言われている. 著者は5例の剖検例を含む11例の胃腺扁平上皮癌について, 病理組織学的に精査し, その発生由来について次の所見を得た. 1) 分化型腺癌との共存例では扁平上皮癌は転移巣を含めて癌巣の深部に存在し, 粘膜内進展部には認めなかった. 組織学的には腺癌の形成する腺腔基底側に未分化癌細胞を認め, これを腺扁平上皮癌の発生由来とした. 2) 未分化型腺癌との共存例では扁平上皮癌は癌巣全体の中で局在する傾向にあり, 単独で胞巣を形成する症例もある. 組織学的には扁平上皮癌は小胞巣を成して島状に存在した. 周囲の未分化型腺癌は粘液産生能の弱い, より未分化な癌細胞からの移行を示し, 扁平上皮癌も同じ細胞からの移行を示した. したがって未分化型腺癌との共存例では, 癌細胞が発生当初から多方向性分化能を有しており, その結果腺扁平上皮癌が生ずるものと考えた.
症例報告
てがみ
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編集後記
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