順天堂医学
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特集 高齢化と医療
加齢に伴う腎病変
吉田 政彦
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1985 年 31 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

腎は加齢に伴ない重量は減少し70歳台では30歳台の約3/4になる. 腎糸球体の硝子化が進行し, 40歳以上では10%をこえることがある. 尿細管は萎縮し, 間質が拡大してくる. この形態的変化により腎機能の低下がみられる. 糸球体濾過値は加齢と共に直線的に低下し, 30歳の機能を100とすると80歳では50まで低下する. 臨床的に老化の良い示標として有用である. 腎疾患としては, 腎硬化症, 糸球体腎炎, 糖尿病性腎症, 尿路感染症などが主要病変として挙げられる. 原疾患が何んであれ, 加齢因子が加味され緩慢な進行を示して腎不全に至る. 近年, 高齢者の透析例が増加している. 合併症が多く不安定透析となることが多く, 死亡率も高い. 高齢者に腎病変が見出されたとき, 腎機能を含めた精査を施行し, 加齢による腎変化を考慮して適切な治療を行い腎不全への移行を遅らせる努力が必要である.

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© 1985 順天堂医学会
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