順天堂医学
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特集 高齢化と医療
加齢とリウマチ性疾患
橋本 博史
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1985 年 31 巻 1 号 p. 37-43

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抄録

高齢者に好発するリウマチ性疾患として, リウマチ性多発筋痛と側頭動脈炎があげられる. いずれも55歳以上に発症するが, 臨床症状がきわめて類似し, 両者は近似した疾患と考えられる. 最も危惧すべき病態は視力障害で, その防止にステロイドが有効である. 症例を呈示し, 臨床的特徴と鑑別診断について述べた. ついで, 病因論的に自己免疫によると考えられる代表的なリウマチ性疾患のRAとSLEをとりあげ, 加齢に伴う病像の相違とそれに伴う臨床上の問題点について考察した. いずれの疾患も, 妊娠可能年齢の女性に好発するが, 高齢発症例は男性の相対的増加がみられ, その臨床病態は非定型的で, 軽症, 不全型が多い. その要因として, 加齢に伴う免疫能の変化と性ホルモン, 環境因子などの影響が考えられた. 臨床的には他疾患との鑑別診断が重要視され, また, 治療に際しては, 加齢に伴うriskを考慮した保存的治療管理が重要と考えられた.

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© 1985 順天堂医学会
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