抄録
加齢に伴う老化は身体の各器官に現われるが, 運動が老化をある程度防止しうるのは筋と酸素輸送系 (呼吸循環機能) である. 筋は老化によって萎縮と筋力の低下を招くが, 筋線維のうちタイプIIの方が退行がより顕著であるように思われる. いっぽう, 酸素輸送系の総合的な指標である最大酸素摂取量は青年期に能力を高めて置いても, その後運動を中止すれば低下が急速におこるので, 中高年に至るまで継続して運動を行う必要がある. 運動はまた心筋梗塞を防止する効果がある.
以上の点から, 老化防止という立場からはタイプI筋線維と心臓のはたらきを高めるエアロビック運動とタイプII筋線維のはたらきを高めるアネロビック運動とを組合せて実施するのがよいと思われる.