順天堂医学
Online ISSN : 2188-2134
Print ISSN : 0022-6769
ISSN-L : 0022-6769
31 巻, 2 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
目次
Contents
特集 北村教授・大野教授・土屋教授・石河教授 定年退職記念講演
原著
  • -頸反射との相互連関を中心として-
    中島 啓次
    1985 年 31 巻 2 号 p. 188-203
    発行日: 1985/06/10
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル フリー
    頸部求心系が前肢運動ニューロンに及ぼす影響を, 単シナプス法, 細胞内電極法によりネコを用いて検索した. 頸部求心系の刺激としてC2後根神経節, C2頸筋神経を用いた. (1) クロラロース麻酔ネコではtriceps及びbiceps単シナプス反射 (MSR) はC2神経節の条件刺激により促通効果 (10-20msec) とそれに引き続く抑制効果 (50-100msec) を受けた. (2) 脊髄ネコでもほぼ同様の傾向であったが, 対側C2神経節の効果は少なかった. (3) 一方, 無麻酔除脳ネコではtricepsのMSRは主として30-150msecの促通とbicepsでは30-70msecの抑制と相反性効果を認めた. (4) 細胞内記録では, 頸部求心系より3シナプス以上の多シナプス性シナプス後電位 (PSP) が記録された. (5) 除脳ネコにおいて, 頸部求心系よりtriceps運動ニューロンに, 特徴的な短潜時, 小振幅のEPSPとそれに引き続く長潜時, 高振幅のEPSPが記録された. (6) 頸筋神経刺激 (high threshold muscle afferents) により, 脊髄ネコのtriceps運動ニューロンに相反性効果を認めた.
  • 棚橋 尉行
    1985 年 31 巻 2 号 p. 204-214
    発行日: 1985/06/10
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル フリー
    従来より洞機能不全症候群 (SSS) に対するペースメーカー治療においては, 房室ブロックを合併しやすいとの懸念から心室ペーシングが行われ, 最も生理的状態に近い心房ペーシングの選ばれる頻度は比較的低い. そこで心房収縮がペーシング時の血行動態に及ぼす影響と, SSSの房室伝導機能, 及び慢性心房細動移行について調べることにより, SSSに対する心房ペーシングの可能性と有用性について検討した. 臨床的観察及び動物実験で, 心室収縮期に心房収縮が生じると, 心房心室収縮の順次性が保たれる場合に比べて心拍出量減少, 左室収縮期圧低下, 心房圧の上昇をきたすため, ペーシング時においても生理的な心房心室収縮の順次性が必要であることを明らかにした. 房室伝導機能に関しては, SSS68例の電気生理学的検査でA-H時間の延長を21%, Wenckebach型房室ブロック出現心拍数が120/分以下の例を25%に認めたが自律神経系の影響が考えられ, 6ヵ月から10年の臨床経過上, 2度以上の房室ブロックをきたした例は認められなかった. 慢性心房細動移行は, 心室ペーシング例の31.4%に認めたが, 心房ペーシング例では6.7%と少なく, 心房ペーシングには心房細動の予防刻果があると考えられた. 以上より, SSSは2度以上の房室ブロックの合併頻度は低いため, 血行動態的にも, 心房細動移行の予防効果の面からも有利であると思われる心房ペーシングが, SSSの大多数の例で可能であると考えられた.
  • 三浦 武
    1985 年 31 巻 2 号 p. 215-225
    発行日: 1985/06/10
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル フリー
    刺激直下における心筋局所の興奮性を研究する目的で左右両心室に刺激を与え, 誘発された心外膜電位波形を分析した. 実験は雑種成犬21頭を用い, 電極をシアノアクリレート系接着剤で心外膜面上に接着し, 接着圧が実験中一定となる様に固定した. 用いた電極は不分極電極である一本の銀・塩化銀電極で, この電極を通じて心筋刺激と心外膜電位誘導を連続的に行った. 脱分極初期においては適当な刺激により, 電位波形は一定の時間 (水平電位持続時間), 負の一定電位 (心外膜水平電位) を示した. 水平電位は左心室で-47.5±9.4mV (mean±SD), 右心室で-40.1±8.6mVを示し, 両心室間に電位差を認めた. 水平電位持続時間は左 心室で32.9±4.6msec, 右心室で18.3±3.7msecを示した. 刺激により誘発された興奮波頭は電気的二重層で半球状又は半楕円体状に進行し, この中心で観測される電位は興奮波頭が電気的境界面に達するまでの一定時間, 一定値 (理論推定値=-50mV) を示すと解析され, 実験により証明された. 水平電位は心室壁厚には無関係で, 心筋細胞の電気的特性や形態学的特性に関係する事を論じた. 水平電位持続時間は心外膜側より心内膜側に興奮が伝導する時間と考えられ, 左心室壁厚は6-6±0.9mm, 右心室壁厚は3.7±0.7mmと計算され, 心室壁厚と直接関連がある事を述べた. さらに水平電位以後の脱分極後期における心外膜電位波形は心臓のgeometryに関係する事を考察した.
報告
抄録
てがみ
順天堂医学投稿規程
編集後記
feedback
Top