抄録
視床下部に多くの種類のペプチドニューロンが分布しているが, それらのペプチドは機能のうえから幾つかのグループに分けられる. 本論文では視床下部の諸神経核のうち, 多くのペプチドニューロンの細胞体が分布する室傍核, 視交叉上核, 弓状核におけるペプチドニューロンの分布パターンの特徴とそれらの多くのニューロンの終末投射領域である正中隆起でのペプチドニューロンの終末形態について免疫細胞化学法を用いて形態学的観点から述べた. また, ペプチドニューロンは一般的にミトコンドリア, 粗面小胞体, ゴルジ装置などの細胞内小器官が良く発達する以外に免疫陽性反応を示し, 暗調を呈する分泌顆粒を含むが, ペプチドニューロンの免疫電子顕微鏡的細胞化学法による所見も併せて述べた. 視床下部にはカテコラミンやインドールアミンの線維分布も密に認められるが, それらの大部分の線維は脳幹より上行性に投射するものである. 室傍核に分布するニューロテンシンニューロンへの脳幹よりのノルアドレナリンニューロン及び視交叉上核に分布するVIPニューロンへの脳幹よりのセロトニンニューロンの投射による影響についても概述した.