順天堂医学
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特集 脳・腸管ペプチドの基礎と臨床
痛みとエンケファリン
町 俊夫
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1985 年 31 巻 3 号 p. 352-359

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抄録
血液および脳脊髄液中のエンケファリン, エンケフアリン分解酵素, エンケフアリン分解酵素阻害物質などは疼痛機序に関与していると考えられているが, それぞれの関連を含めてなお詳細は不明である. さらに最近では血液中にエンケファリンと結合する蛋白が発見され, この物質の変動も影響する可能性がある. われわれは独自にエンケファリン測定法を考案して検討した結果, 血液中に明らかにエンケファリンが存在し, 急性疼痛時には血清中エンケファリン濃度が正常より有意に高値になることがわかった. 一方, エンケファリンおよびエンケファリン前駆物質が副腎髄質に多量に含有され, カテコラミンと平行して分泌されるといわれているが, 急性疼痛をストレスと考えるとこのストレス状態においてエンケファリンが副賢髄質より血液中に分泌されるのかもしれない. 従来よりエンケファリン関連物質は中枢神経系や腸管に含まれるといわれてきたが, その後末梢神経系や副腎髄質などからも発見され, 疼痛機序を含めて生体防御機構の制御全般にかかわっている可能性も考えられる.
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© 1985 順天堂医学会
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