日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
新たなリスク分析手法(Hazard and Operability Analysis:HAZOP)を活用した転倒・転落原因構造関連図の作成
小松 佳子角田 由美子大川 淳藤谷 克己
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2010 年 10 巻 4 号 p. 593-599

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抄録

 従来の転倒・転落対策は、アセスメントシートによる患者の査定やレポート分析結果に基づいて実践されていたが、多様な要因の相互関係が不明確であるために必ずしも根本的な対策になっていなかった。そこで本研究では、転倒・転落における根本的な原因は何かについて、工業分野で使用されている HAZOP 手法を用いて原因構造を明らかにすることを目的とした。HAZOP とは、ある行為を行う上でのあるべき状態や行動に対して“しない”“多い”などの 7 つのキーワードに沿って“ズレ”を生じさせることにより、その行為を行う際のリスク要因を洗い出す分析手法である。この“あるべき状態を行わないとどうなるのか”というリスク要因とその影響との間には因果関係が存在する。さらに分析により抽出された約270の因果関係について、4M4E 手法に照らして原因構造関連図を作成した。その結果(1)人的要因(2)機器的要因(3)環境・情報的要因(4)体制・管理的要因ごとに整理し、4 枚の原因構造関連図が作成された。それにより転倒・転落における多様な要因が複雑に関連した全体構造が明確になったので報告する。

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© 2010 特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
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