順天堂医学
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原著
頭蓋内圧波の発現機構に関する神経生理学的研究
高橋 邦丕
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1987 年 33 巻 2 号 p. 192-205

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抄録
頭蓋内圧波の出現に関与する神経機構を調べることを目的とし, 脳内 (青斑核・縫線核・吻側網様体核, およびCholinoce ptivepontine area: CPA) より単一ニューロンの発射活動を導出・記録し, 頭蓋内圧 (ICP) の変化との関連を検討し次の結果を得た. 1) B波の出現に際し, 縫線核・青斑核群ならびに吻側網様体核のニューロンでは圧変動に先行, あるいは同期してスパイクの発射頻度が変動した. 2) A波の発現時には青斑核ニューロンは, 圧の上昇相に先行して発射活動は減少し始め, プラトー相では極度の低下を来たした. また下降相に先行して発射頻度は再び増加し始め, 低値相では高頻度の発射活動が維持された. 3) 青斑核群にGlutamateの微量注入を行うとICPの下降が見られ, CPAにCarbacholを注入するとICPの上昇が誘発された. 4) CPAを電気刺激すると青斑核ニューロンの自発発射は著明に抑制され, CPAと青斑核群間の抑制性神経結合が判明した. 5) A波発現時のCPAニューロンの発射活動は, 先の青斑核ニューロンと鏡像を呈しプラトー相で発射頻度の増加を来たした. 以上の結果から, 圧波のB波とA波の発現に関与する神経機構は, 異なる可能性があることを論じた.
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© 1987 順天堂医学会
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