順天堂医学
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原著
加齢に伴う副腎髄質カテコールアミン分泌と副腎交感神経単一線維遠心性放電活動の変化
鈴木 はる江
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1987 年 33 巻 2 号 p. 234-244

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抄録
副腎髄質から分泌されるカテコールアミン (CA) は, 循環や血糖調節に関与する重要なホルモンであり, 交感神経によりその分泌が調節されている. これまで副腎髄質組織中のアドレナリン (A) とノルアドレナリン (NA) の含有量, 末梢血中のNA濃度は加齢に伴い上昇することが明らかにされているが, 副腎髄質からのCA分泌速度の加齢に伴う変化については不明である. 本研究では生後約100-900日の麻酔ラットを用い, 副腎髄質から副腎静脈に分泌されるCA量を副腎静脈血を直接採取して測定し, 副腎からのCA分泌速度が加齢に伴い如何なる変化を示すのか調べた. さらに副腎を支配する交感神経を単一線維に分離し, その遠心性放電活動の加齢変化についても調べた. 生後100日においてCA分泌速度は, A 26.7±2.9, NA 4.01±0.77ng/kg/分を示し, いずれも生後300日頃より加齢に伴い増大し, 生後800-900日で生後100日の2-4倍高いレベルに達した. 副腎交感神経単一線維活動は, 生後100日において1.35±0.17imp/秒を示し, 加齢に伴いCA分泌速度と同様に増大した. この結果から, 加齢に伴い副腎交感神経活動が増大し, それによって副腎からのカテコールアミン分泌も増大することが示唆された.
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© 1987 順天堂医学会
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