抄録
獨協医科大学病院未熟児部において昭和53年-62年の10年間に69例の敗血症症例が経験された. 黄色ぶどう球菌は21株分離され, そのうち11株がMRSAであった. 昭和59年より起炎菌不明時の感染症治療の抗生剤の第一選択としてCTXを導入したところ, 60年よりMRSAによる敗血症がみられるようになり, 62年に病棟内に大流行が起こった. 症例は, 未熟児10例, 成熟児1例であり, 第1例目を除き全例救命できた. 敗血症発症の早期発見が何よりも重要である. 適切な抗生剤の選択が重要であり, 各病棟における主要起炎菌とその薬剤感受性の変化に注意を払うことが肝要である. 今回はDOXY, CMZ, FOM, AMKなどを併用した. 院内感染対策として静脈ライン管理方法を変更したところ, 流行は終焉した.