順天堂医学
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特集 めまい症例へのアプローチ
メニエール病はそれ程多い疾患か
徳増 厚二
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1992 年 38 巻 3 号 p. 337-347

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抄録

メニエール病は, 反復するめまい発作, 変動する聴覚障害を特徴として, 既知の疾患・中枢神経系疾患を除外し, 検査では, リクルートメント現象陽性の内耳性感音難聴と, 末梢性前庭性平衡障害が発作期・発作間歇期で変化することから診断される. 病理学的には特発性内リンパ水腫であり, 臨床的には低音域の聴力障害の変動, グリセロールテストなどで内リンパ水腫が推定される. 北里大学病院めまい外来の最近7年間の初診患者総数3222名に対して, メニエール病初診患者数の比率は約10%, メニエール病確実例は7.8%であった. 既知の疾患ならびにメニエール病以外の『いわゆるめまい症』患者数のめまい外来初診者総数に対する比率は約43%であり, メニエール病のほぼ4倍に達した. 炎症・腫瘍・血管障害・中毒・外傷などを除外しためまい患者のうちでメニエール病は, その一部に過ぎないことを報告した.

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© 1992 順天堂医学会
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