1992 年 38 巻 3 号 p. 348-356
めまいはそれ自体で直接死に至ることはないが, 「生命維持への警戒警報, あるいは黄色信号」ということができる. つまり, 神が与えた警告である. 素早く適切な処置をとって, その後に来るかもしれない大発作を未然に防がなければならない. 大発作の前の小発作のうちに正しい治療や予防的措置をとることが何よりも大切である. めまいは一過性であったり, 自然に治ってしまうことも少なくないので, ややもするとその治療は対症的になりがちである. また, その場限りの一時しのぎの治療では再発を繰返し, だんだん重症になってゆくことも多いので, 根本的な治療によって「いまあるめまい」ばかりではなく, 再発予防策を講ずる必要がある. また, 精密検査をおこなっても原因や診断が明らかにならない場合, <異常なし>とは断定せず, 経過を追跡することがぜひとも必要である.