順天堂医学
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特集 めまい症例へのアプローチ
実地医家のめまい症例への対処
青木 勝三郎
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1992 年 38 巻 3 号 p. 368-379

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抄録

実地医家の知っておくべきめまい疾患をその病因と障害部位から分類し, さらに予後から命に関わるめまい, 早期診断と早期に適切な治療を行わないと機能障害を残す可能性のある危険なめまい, 予後良好なめまいに分け, とくに留意すべき疾患を例示した. 脳と体のバイタルサインが正常であっても, 重篤な頭蓋内病変を見逃す危険のあるめまい疾患を列挙し, 診断の決め手は詳細適確な問診にあることを強調した. 病巣診断には問診と併せて一般神経学的諸検査, 聴・平衡機能検査を中心とした神経耳科学的検査が重要であり, 多忙な日常診療において手軽に行い得る検査の手順と, それぞれの検査の診断学的意義について述べた. めまいをきたす末梢性疾患と中枢性疾患を症状と所見からその鑑別の要点を述べ, これらのめまい例につき対応上の問題点を取り上げた. 専門医への紹介のポイントと搬送時の注意を具体的に挙げて述べた. 末梢性めまいの治療の原則を述べたが, 主として薬物療法の基本と, 病因・病態に則した治療が大切であることを強調し, 使用薬の不適確な投与は検査成績を変貌させ, 逆にめまいの回復を遅延させる原因となり得ることを述べた.

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© 1992 順天堂医学会
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