抄録
6例の臨床症例より分離されたNocardia 7株の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して比較検討した.
各種サルファ剤のMICは1.56-12.5μg/mlであり, trimethoprim (TMP) のMICは6.25-25μg/ml, minocycline (MINO) のMICは0.20-3.13μg/mlであった. また各種サルファ剤の中ではsulfamethoxazole (SMX) が最も低いMICを示し, サルファ剤単独よりも, これらとTMPの併用の方がより低いMICを示す傾向があった.
自家症例は, 基礎疾患を有する肺ノカルジア症が3例・皮膚ノカルジア症が2例, 両者の合併例が1例であり, 全例がST合剤, MINO, またはMINOとSMXの併用により改善した.
このようにノカルジア症には有効な薬剤があるだけに, 常に本症を念頭に置き, 早期診断・早期治療に努めることが重要と思われた.