順天堂医学
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原著
ノカルジア症の化学療法に関する研究
-6臨床症例より分離されたノカルジアの薬剤感受性について-
礒沼 弘
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1993 年 38 巻 4 号 p. 552-556

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抄録
6例の臨床症例より分離されたNocardia 7株の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して比較検討した. 各種サルファ剤のMICは1.56-12.5μg/mlであり, trimethoprim (TMP) のMICは6.25-25μg/ml, minocycline (MINO) のMICは0.20-3.13μg/mlであった. また各種サルファ剤の中ではsulfamethoxazole (SMX) が最も低いMICを示し, サルファ剤単独よりも, これらとTMPの併用の方がより低いMICを示す傾向があった. 自家症例は, 基礎疾患を有する肺ノカルジア症が3例・皮膚ノカルジア症が2例, 両者の合併例が1例であり, 全例がST合剤, MINO, またはMINOとSMXの併用により改善した. このようにノカルジア症には有効な薬剤があるだけに, 常に本症を念頭に置き, 早期診断・早期治療に努めることが重要と思われた.
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© 1993 順天堂医学会
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