抄録
宮崎県一ツ葉海岸を対象として海岸侵食の原因を考察し, アカウミガメCaretta carettaの産卵地保護のあり方を示した. 近年, この海岸では侵食が深刻であり, 海岸線に沿って高い浜崖が形成され, アカウミガメの産卵が非常に危惧される状況となっている. 侵食原因は, 宮崎港の防波堤による波の遮蔽域形成と航路浚漢により波の静穏域へと砂が移動して周辺域の土砂が吸い込まれたこと, また一ツ瀬川河口導流堤による南向きの沿岸漂砂の阻止と河口での航路浚渫である. 近い将来における日本最大のアカウミガメの産卵地の消滅を防ぐには, 問題への根本的な対応が必要である.