順天堂医学
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特集 在宅医療
《かかりつけ医》機能と在宅医療
糸氏 英吉
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1993 年 39 巻 3 号 p. 301-309

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抄録

我が国では, 世界に類を見ない早さで高齢化が進んでいる. 今後の高齢社会における国民のニーズとして在宅医療がある. 在宅医療は, その費用の問題, 介護者および住居の問題, 法的責任等, 解決しなければならない多くの問題を抱えている. しかし, 今まで親しんできた人達との人間関係を保ちつつ, 住み慣れた環境のなかで自由とプライバシーを享受しながら人生の終焉を迎える療養は, 21世紀の療養のあり方としては理想的であり, 今後国民の選択肢の一つとしてできるだけ提供できるように考えていかなければならない. 今後激増するであろう在宅医療は, 病診連携をベースとしながら主として患者のかかりつけ医が担うべきであろう. 第一線の在宅医療を担うかかりつけ医には, 国民のニーズに応えるための全人的な対応と近代医学を修得するための生涯教育が求められよう. また, 地域医師会あげての在宅医療に対する強力な支援体制も, 必要不可欠のものとなってくるであろう. 地域医療の実践の中で若い医師たちに医師としての誇りと生きがいを感じてもらい, 国民の信頼に応えていくためにも新しい時代の《かかりつけ医》理念を研究確立していく必要があると考える.

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© 1993 順天堂医学会
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