順天堂医学
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原著
5-Fluorouraci1 (5-FU) のドラッグデリバリーシステム
石井 るみ子
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1993 年 39 巻 3 号 p. 338-347

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抄録

難治性緑内障に対する濾過手術の成功率を向上させるために, 5-Fluorouraci1 (5-FU) の結膜下注射が有効であるが, 角膜障害や頻回注射による苦痛も問題になっている. 今回5-FUの投与量を減らし, 投与法を簡便にする目的で3種類のdrug delivery system (DDS) を考案した. (1) コラーゲンに10%5-FUを混ぜて棒状にしたコラーゲンロッドによるもの (2) 5-FU坐剤をリボンガットに包んだもの (3) 架橋したコラーゲンチューブに20%5-FU坐剤を封入したもの3種類の材料を作成し, 白色家兎の球結膜下に埋め込み, 投与後4週までの結膜 (投与部および対側) ・強膜 (投与部および対側) ・角膜・前房水・虹彩・水晶体・硝子体・耳朶血の5-FU濃度をバイオアッセイ法またはHPLC法で測定し, 徐放効果を調べた. (3) の方法で5-FU2mg投与4週後に投与部結膜には2.70μg/gの5-FUが検出できた (有効濃度は0.2μg/g). 投与2週後に腫膜切開部のfibroblastはコントロール眼に比べて少なく分布していた. スペキュラーマイクロスコープによる観察では, 投与2週後には角膜内皮細胞の細胞数が減少していたが, 4週後には有意な差は認められなかった.

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© 1993 順天堂医学会
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