順天堂医学
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特集 糖尿病―今日の考え方―
糖尿病網膜症による失明を予防するために
早川 むつ子
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1995 年 41 巻 1 号 p. 16-25

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抄録

糖尿病網膜症はわが国を含めた先進国の後天性失明原因の第一位を占めており, 社会的にも重大な問題である. 網膜症の病期は単純網膜症・増殖前網膜症・増殖網膜症に分けられる. 視力低下は黄斑症や, 新生血管からの硝子体出血, 増殖膜による牽引性網膜剥離や血管新生緑内障の合併により生じる. 網膜症による失明を予防するには糖尿病が見つかったら早い段階で定期的な眼底検査を開始し, 適切な時期の光凝固治療を行うことが重要である. 特に糖尿病の長期放置後や眼の自覚症状が出現した後に治療が開始された例では網膜症の増悪を防ぎきれないことがある. 失明予防には糖尿病をコントロールする医師と眼科医との密接な連携の重要性はもとより, 網膜症を発症させない1次予防が重要である. そのためには糖尿病の早期発見のための社会教育と, 早期からの持続的な血糖コントロールが必要であり, コントロール放置例をなくすための内科医と眼科医の双方による患者教育が大切である.

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© 1995 順天堂医学会
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