抄録
整形外科の日常診療で, 腰背部痛を訴えて来院する患者さんの中で, 骨粗鬆を伴って受診するものの多くは高齢者である. また, 脊椎に圧迫骨折が出現すると疼痛は憎悪し, その対応には十分に注意する必要がある. 高齢者に出現することが多い四肢の骨折は大腿骨頚部骨折・上腕骨外科頸骨折・橈骨遠位端骨折などを挙げることができるが, 大腿骨頸部骨折などはその対応を誤ると直接その患者の生命予後に関係してくる. 最大骨量を獲得以降, 年齢とともに骨量は減少するが適度な減少であれば生理的であり, 骨量を回復させることで必ずしも骨折が予防されるわけではない. むしろ社会的環境を整備し, 転倒などを防止することが骨折の予防には重要である.