1997年, 新規結核患者数が38年ぶりに増加に転じ, 結核が再興感染症として注目されている. 結核症は感染後すぐに発病する一次結核と長い年月を経てから発病する二次結核という二つの病態があり, 感染と発症の間の大きな時間差が特徴で, 人口の高齢化に伴いこのことが結核再興の要因の一つとなっている. 結核の治療は1996年4月の結核医療の基準の改訂により, ピラジナミド (PZA) を含む4剤併用が標準治療となった. PZAの主な副作用は肝障害と高尿酸血症である. わが国の初回治療例のイソニアジド・リファンピシン・ストレプトマイシン・エタンブトールの4剤に耐性の結核菌の頻度は0.4%である. しかし再治療例では, 多剤耐性例は4.3%におよぶ. 若年者の結核未感染者の増加により, 院内感染 (集団感染) が大きな問題となっている. 十分な感染防止策が望まれる.