1999 年 44 巻 4 号 p. 388-393
かつて国民病とまで言われた結核は順調に減少し, もはや過去の感染症という印象がある. しかし最近ではその減少速度は鈍り, 再興感染症として注目されるようになってきた. 小児では粟粒結核・結核性髄膜炎など重篤な結核症として発症することが多く, その診断・治療, および予防対策が重要である. 小児結核は家族内感染が多いことから, 成人患者診断時には迅速な接触者検診を行い, 感染小児の発見と適切な発症予防処置をとらなければならない. また乳児期早期のBCG接種を勧めることにより結核の感染予防に努める. 結核が疑われた場合には一回だけの検査で否定せず, 結核菌の検索を繰り返し行うことが大事である.