抄録
代謝・内分泌疾患の代表的なものである糖尿病と甲状腺疾患の管理・治療には, 内科医と眼科医の密接な連携が不可欠である.
糖尿病の眼合併症は, 白内障, 緑内障, 屈折・調節異常, 外眼筋マヒ, 網膜症など様々である. 網膜症においては先進国の失明原因の第一位であり, 社会的にも重大である. 糖尿病網膜症による失明の予防には, 糖尿病の早期発見, 発症後早期からの厳重な血糖コントロール, 血糖正常化開始前の眼底の評価に基づいた血糖コントロール方法の検討, 定期的な眼底検査と, 時期を失しない光凝固治療の実施や, 硝子体切除術移行への適切な判断が求められる.
甲状腺疾患では, 眼瞼異常・角膜障害・外眼筋異常・視神経障害・眼球突出など多彩な異常を来す. 眼球運動障害や, 高度な眼球突出, 視神経症にはステロイド全身投与や放射線治療が有効であるが, 進行すると難治である. できあがってしまった眼症を作らないためには, 早期発見と早期治療が重要である.