順天堂医学
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第6回都民公開講座「心臓病(虚血性心疾患)からどうやって身をまもるか?―最新の診断・治療 そして予防―」
虚血性心疾患の病態と診断
代田 浩之
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2000 年 46 巻 2 号 p. 176-179

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抄録
虚血性心疾患とは心臓の栄養血管である冠状動脈に主として粥状硬化による狭窄や閉塞が発生し, 心筋の虚血が起こるために発症する. 虚血性心疾患の中には心筋が血液不足 (虚血) になり, 一時的に胸痛を感じさせる狭心症と冠状動脈が突然閉塞し, 心筋が壊死に陥る心筋梗塞がある. また糖尿病症例や高齢者などでは, 虚血であるにもかかわらず, 胸痛を感じないことが比較的多く, 無痛性心筋虚血と呼ばれている. 最近では不安定狭心症や心筋梗塞など冠状動脈の急激な閉塞に伴う病態を急性冠症候群 (Acute coronary syndrome) と呼んで, 包括的にとらえる概念があり, 粥腫の破綻とそれに続く血栓性の閉塞を原因とした病態としてまとめて表現されるようになった. 冠状動脈疾患の危険因子として, 高コレステロール血症・喫煙・高血圧・糖尿病・肥満・運動不足などがある. それぞれの危険因子を持つことによって冠状動脈硬化をはじめとする動脈硬化症の発症の危険性が高まる. 動脈硬化の初期のプロセスは危険因子が動脈の内皮 (動脈の一番内層で血液と接する細胞) に傷害を与えることから始まり, 内膜に脂質, 泡沫細胞の蓄積と平滑筋細胞増殖, 細胞外基質の増加が起こり粥腫が形成される. 狭心症の診断では病歴を詳しく聞くことが, 最も重要である. 労作によって起こる30秒から数分の胸部重圧感, 圧迫感, 締め付けられるような痛みなど, 労作性狭心症の典型的な症状である. 夜間や明け方の安静時胸痛は冠攣縮性狭心症を疑わせる. より客観的な診断のためには, 運動負荷心電図・心臓核医学検査・24時間心電図などで, 心臓の虚血 (血液不足) を明らかとし, 最終的には冠状動脈造影を用いて, 病変の局在と狭窄の程度を確認する必要がある.
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© 2000 順天堂医学会
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