抄録
精神性手掌発汗は,不安,恐怖,怒りなどの情動変化が生じている現象と言われている。そのため,診療室における小児の精神的不安や緊張度を把握する目的で,発汗装置を使用して小児の精神性手掌発汗量を測定した結果,次の結論を得た。1 .診療室での発汗量について男児および女児ともに,発汗量は,チェアー誘導時が最も大きく,次いで窩洞形成時,ブラッシング時となり,待合室待機時が最も小さくなった。また,男児では,待合室待機時とチェアー誘導時との間とチェアー誘導時とブラッシング時との間で有意差を認めた。さらに,女児では,待合室待機時とチェアー誘導時との間,チェアー誘導時とブラッシング時との間とチェアー誘導時と窩洞形成時との間で有意差を認めた。2 .男児および女児別の発汗量について診療室での待合室待機時,チェアー誘導時,ブラッシング時および窩洞形成時のすべてにおいて女児の方が男児よりも発汗量が大きくなった。しかし,男児と女児との間では有意差を認めなかった。今回の研究は,自分の意思を十分に訴えることができない小児の精神状態を定量的に把握できるため大変有効な方法であると考えられる。