順天堂医学
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原著
新生児脳波に出現する一過性鋭波の検討
齋藤 雅子呉本 慶子高橋 系一新島 新一
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2007 年 53 巻 3 号 p. 428-437

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抄録
目的: 新生児の脳波は乳幼児以降の小児, 成人の脳波とは大きく異なり, 陰性の一過性鋭波は正常であってもあらゆる部位から出現する. これらの鋭波の特徴を明らかにするために新生児脳波の一過性鋭波について背景脳波が正常な群と異常な群を比較検討した. 対象および方法: 順天堂医院NICUに入院した126人の新生児で修正37-42週に施行した127例の脳波を対照とした. 背景脳波により67例が正常, 32例がdisorganized pattern群, 40例がdysmature pattern群に分けられた. 一過性鋭波の部位別の1分あたりの出現頻度, 周波数, 振幅につきそれぞれの群で比較検討した. 結果: 一過性鋭波の1分あたりの出現頻度は全体ではdisorganized pattern群で0.928±0.681と正常群0.634±0.381に比較し有意に高かった (p<0.01). CとTではdisorganized pattern群での出現頻度が有意に高かった (p<0.05). dysmature pattern群では統計的には明らかではないがいずれの部位でも正常群に比較すると多く認められた. 振幅ではFの150μV以上のもの, C, Tの100μV以上のものがdisorganized pattern群で正常群に比較し優位に多く認められた (p<0.01, 0.05, 0.05). 周波数では4-7HzのものがCとTでdisorganized pattern群で正常群に比較し優位に多く認められた (p<0.05). 結語: 一過性鋭波はdisorganized pattern群でCとTに有意に多く認められた. この様な一過性鋭波の出現の仕方の特徴は新生児脳波を判読する上で一つの特徴となると思われた.
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© 2007 順天堂医学会
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