抄録
目的: 本研究の目的は, 健康づくりという観点から横浜市K区の高齢住民の現状を質的に把握することである.
対象および方法: 調査法としてフォーカスグループインタビューを用いた. 対象者は区内在住の自立した前期高齢者から, 男性19名, 女性18名の計37名を有意抽出した. 抽出したメンバーから, 10名程のグループを, 男女別にそれぞれ2グループ, 計4グループ作成した. 1グループにつき90分程のインタビューを行い, 健康づくりに関連した項目について質問した. 分析はインタビューを行った筆者と, フォーカスグループインタビューの分析経験のある2名のものと行った.
結果および考察: その結果, 前期高齢者において, 健康づくりと地域交流などの社会参加が密接に関係していた. 女性では, 健康づくりの活動において, 友人関係や社会活動が重要な要素であったが, 阻害因子となる場合も存在することが明らかになった. 男性では, 健康づくりにおいて仕事からの退職が大きな契機となることが示唆された. ほとんど会社内だけでの人間関係から, 退職後は地域社会での生活への転換が必要となり, そのことがスムーズに行われることが健康づくりや社会参加に影響していることが考えられた. 今後の健康づくり活動では, これらのことをふまえてサポートする必要性が考えられた.