抄録
目的: 動脈管開存症や主要側副血行路などに対して最近普及してきた経皮的コイル塞栓術に用いる金属コイルの生体におよぼす影響を懸念し, 留置後に自己組織化し長期間経過後の影響は無視できると考えられるatelocollagenを素材とするコラーゲンコイルの開発を試み, 動物実験によるコイルと血管の組織学的変化を検討した.
対象と方法: 対象は体重9.8-12.0kgの雑種成犬12頭. 作製したコラーゲンコイルを成犬目的血管 (腎動脈, 頚動脈, 椎骨動脈) 内に経皮的に留置. 留置後1週間から5年までの血管を経時的に採取し, コイルと血管内腔の変化を組織学的に検討するとともに閉塞状態を観察した.
結果: 血管閉塞を目的とするX線不透過性のコラーゲンコイルは作製, 留置可能であった. 今回コラーゲンコイル留置5年間経過までの長期所見が得られたが, 完全閉塞は維持され, 組織学的には完全自己組織化が完成され得ることを確認した. コラーゲンコイルの自己組織化には, atelocollagenの生体内吸収速度と増殖してくる新生組織の生成速度とのバランスに多因子が関与していると考えられ, 血管内流血中での自己組織化は, 初期には活発に, 中期まではなだらかに, その後はさらにゆっくりと経過する.
結論: atelocollagenを素材とする血管閉塞用コイルは作製可能であり, 5年間経過までには完全自己組織化をきたし得た. この実験結果は, 金属コイルとの代替えの可能性を示唆するものと思われた.